沼崎悠 COIN JINJA創業者インタビュー

個人プロフィール

アジア一筋に新規事業開発ばっかりやっている、ちょっと頭のネジがずれているかもしれない日本人。

生年月日
1987年
出身地
カナダ・モントリオール

インタビューに先駆けて

株式会社COINJINJAの共同創業者の沼崎 悠に2018年3月27日にインタビューを実施した内容です。

会社を設立してから、まだ4ヶ月ですが、仮想通貨界隈はジェットコースターな日々で次々状況が変わっていきます。

COINJINJAは現在のところ、仮想通貨アプリ「コイン相場」の開発に注力しており、トークンエコノミーの現出と海外展開を進めています。

すべての仮想通貨の入口になる、ユーザーにとっても最も便利なツールを届ける会社でありたいと思っています。

今回は、COOである沼崎 悠(ぬまざき ゆう)がどのように仮想通貨の状況を捉え、今後何を見ているのかについて聞いていきます。

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なんで仮想通貨で事業始めようと思ったの?

元々、アジア圏の採用事業をやっていて。当時は、中国や東南アジアのトップ大学の学生と毎日のように接触していたんだよね。そして、彼らが日本企業へ就職し、日本で働くことの支援をしてた。ただ、やりながら少なからず疑問に思っていたのは、それが本当に彼らの国の発展に少なからず繋がるのか、という所。

当時は人口ボーナスが来るアジア諸国に日本とのブリッジになる人材が沢山いるのは、技術面やビジネス的なノウハウ面含めて、有用じゃないかと考えていた。

その理屈は、日本や中国が経済的に成長してきたのと同じシナリオで、今後は東南アジアやアフリカも伸びていくのではないかという発想だった。

ただ、肌感覚と現場に居続ける中で、「製造業」という産業が中核にあった人口ボーナスという発想や、そもそも資本主義という構造自体が、はたしてこれからも通用するのか疑問になってきた。

生産人口が多い国が爆発的なスピードで経済発展を遂げていくという理屈の部分なんだけど、それって工場的な単純労働に近い仕事がたくさん発生する前提なんだよね。それを購入単価の高い海外への輸出に回すことで外貨を獲得していく。

そして、経済が発展していくと、国としてもインフラや教育に回す予算が生まれて、更に国は・・・という流れ。でも、そもそも製造業はロボット化、自動化されていく流れがあり、そこに仕事が本当にたくさん発生し続けるのだろうか。消費することがいいことであったという感覚はミレニアル世代には無いし、モノの消費量自体にも疑問が無いか。

そう考えていくと、今の経済構造をアップデートするような仕組みが無いと、途上国の発展は無いんじゃないかと思うようになってきた。

それこそピケティじゃないけど、今時点で資本を持っている側だけに更に資金が流れ続ける構造なんじゃないかと。

そんなことを考えて、ここ数年は、資本主義の次が見えて来るような事業をやりたいとずっと思っていた。

仮想通貨は、思想的には、非中央集権だとか分散だとか色々なバックグラウンドがあるのだけど、自分が最も惹かれているのは、お金の価値そのものを組み替えていく部分。そこには、次の世界観があると思うんだよね。

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最初の質問からだいぶ話長いね・・・ちなみに、資本主義のアップデートとか難しいこと言ってるけど、結局なんでそんなことに興味あるの?

直球だね。(笑)簡単に言えば、究極ビジネスやる意義って世界経済の発展の貢献出来るかだと思っていて、経済が伸びれば人口が増えるって理屈にしかそもそも納得していないんだよね。定量的にビジネスやる意義を考えた時に、数値化出来るのって、新しい価値を生み出すから、経済が成長する、そしたら生きていける人間が増える。ここにしか納得がいかなかったんだよね。

それ以外の社会問題も当然たくさんあるし、意味や価値があるサービスがたくさんあるのも分かるけど、基本的にビジネスにしか興味が無い自分からすると、根本的には興味が持てない。

世の中にインパクトを与えたいみたいのもよく分からなくて、それって定量的に何を持ってインパクトって言うんだっけみたいに思ってしまって。もちろん、どっちにしても自己満足なんだろうけど、数字に見えて納得出来ないことだと自己満足にならないんだよね、自分の場合。

価値観の話はわかったけど、聞いている方にはどうでもいい話だったね。(苦笑)本題に戻すと、これからCOINJINJAでやっていきたいことは?

キーワードは2つあって、「ユーザー数」と「トークンエコノミー」だね。まず大前提として、「COIN JINJA」では無く「コイン相場」アプリの方にフォーカスしていく。やっぱりアクティブなユーザーを捕まえるには、その人のスマホの中でよく使われるアプリTOP10に入っている必要があるから。ここに入っているサービスとただのWebサービスじゃ全然違う。それこそ仮想通貨関連の事は、全部「コイン相場」だけで済むようなアプリまでレベルは上げて行きたいよね。

その上で、仮想通貨・フィンテック関連のアプリではNo.1という所を目指して行きたい。これは日本では当然、他の国でも同じ話だね。重要なKPI何?って聞かれたらアプリのユーザー数、これだけ。

2つ目は「トークンエコノミー」という部分。既にアプリの中で独自のトークンを発行する準備は進めているんだけど、いかに使われるトークンにするかが重要。でも、現状「使われるトークン」が何なのかは、他の例を見ていても、答えが無い状況。それを考えると、まずは、トークンを発行して、トライアルを繰り返す中で答えを見つけていこうというスタンスだね。

現状だと、法的な問題もあるし、トークン自体の販売とか交換は、将来的には出来る仕組みにしてある。ERC20というEthereumベースのトークンだからね。一方で、今の時点では金銭的な価値がつかないものでもあるので、これはトークンが動き出してから価値を付けるという順番になるね。

トークンエコノミーという概念は、本質的には、ブロックチェーン的な仕組みとは別の仕組みだと理解していて。ブロックチェーン、特にビットコインのようなPoWの仕組みって、ゲーム理論的に利己的な行動を上手くプログラムによって仕組み化している設計が素晴らしい部分。トークンエコノミーの考え方は、資本家・企業・ユーザーの関係性を再構築して、みんなでトークンの価値の最大化に向かって行きましょうね、という仕組み。それは、非常にコミュニティ的で、感情的な部分が多大にあるやり方だと思っている。

ビットコインの自律型のネットワークはある程度成立しているように見えるけど、これまで価値のつかなかった行動に対して価値を付けるトークンエコノミー的な世界観は、実は出てきている実例って多くは無くて。

いわゆる完全な分散型では無いけど、資本主義的でも無い形で、むしろ人が自然な形でとった、コミュニティに対して貢献する行動に対して価値が増していく仕組みがあるというのが重要だと思っている。

まぁ、根本的には、価値が無かった所に価値を付ける、生み出すのが最も価値があると思っている所から来ている発想だと思うけどね。

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また、概念の話に戻ってきたね。今後の目標としては具体的に何なんだっけ?

ああ、申し訳ない。「世界で最も仮想通貨ユーザーに使われるアプリ」が目標です。その為に、マーケティングチームは多国籍にしているし、どんどん海外展開はしていきたい。

どうやったら、1番のアプリになるの?という話でいくと、基本的には、常にチャレンジしていく事しか無いと思う。と言うと、一般的過ぎる回答だけど、仮想通貨の世界は、ドックイヤーどころじゃないスピード感があると思っていて。3ヶ月前と同じ事やっていたら結構ヤバイ、それ位自分たちも変化を続けていかないと、絶対にダメだという肌感覚がある。

常に新しい事をしていく、よりユーザーが仮想通貨に感じている何となくの魅力を具現化し体験まで落とし込む、その積み重ねが重要だと思っているかな。